ICCS 国際中国学研究センター

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小嶋 祐輔 [ ICCS研究員 ]

ICCS研究員(2011年採用)
現代中国政治/エスニック・スタディーズ


 わたしは学生時代から継続して中国の西北にある新疆ウイグル自治区を訪れ、そこに暮らす人々の“いま”に興味をもって研究を続けてきました。新疆と言えば、最近では2009年夏に起こった大規模な騒乱以来、ウイグル族をはじめとするトルコ系の言語を話すムスリムたちと漢族との間の対立関係や民族間の格差が度々注目されています。しかし、現地を訪れてみると現実の対立や格差は、必ずしも身分証に記載された民族の分類に沿って生じているわけではなく、例えばウイグル族として生きる人々が自らをウイグルとしてアイデンファイする仕方にも様々なヴァリエーションがあることが見えてきます。
 人々のアイデンティフィケーションは他者との関係性や文脈のなかで行われるものであり、急速に発展する中国に生きるウイグル族諸個人のアイデンティティも常に変化のなかに投げ込まれています。現在わたしは、主にロシアや中央アジア諸国との間で行われている辺境貿易にブローカーや通訳として参与しているウイグル族を対象に調査・研究をしていますが、彼/彼女たちが漢族との間に構築する協働関係や、より対等で公正な競争関係を形成しようとする諸実践は、一方で「ウイグル族の漢化」という言説を生み出しながらも、もう一方でウイグルとして生きる可能性を広げる一つの生存戦略でもあるように思えます。
 また、こうした実践は、周縁化されてきた人々による「中国」という言葉のもつ意味の変革に向けた挑戦でもあり、同時にわたしたちのなかに依然として強く残る「国家=ある民族によって建設されるもの」という思考を変えていく可能性をももっているのではないでしょうか。既存の中国イメージの撹乱という視点から、当センターで国際中国学について考えてみたいと思っています。

プロフィール

出身学校中央大学文学部
愛知大学大学院中国研究科
専門分野現代中国政治/エスニック・スタディーズ
関連分野新疆地域研究
研究テーマ新疆の辺境貿易とウイグル族
エスニック・マイノリティによる公共圏構築に向けた諸実践
所属学会現代中国学会、日本中央アジア学会、日本政治学会
日本社会学理論学会、日本文化人類学会

主要な著書・論文

区分論文名/書名掲載誌名・書名/出版社発行年
論文
(単著)
ウイグル族と<漢化>―文化の二分法を超えて小長谷有紀・川口幸大・長沼さやか編『中国における社会主義的近代化―宗教・消費・エスニシティ』pp.221-245/勉誠出版2010
論文
(単著)
中国における差異の政治と民主主義:新疆「民族問題」の経験が示唆するもの『ICCS現代中国学ジャーナル』第2巻第1号,pp.229-238/愛知大学国際中国学研究センター2010.3
論文
(単著)
〈民族〉化される格差:新疆ウイグル自治区を例に『中国21』第30号,pp.193-212/愛知大学現代中国学会2009.1
論文
(単著)
中国における多様な民族主義を考える:中華民族の言説とジェディッディズムの成立過程を通じて馬場毅・張琢(編)『改革・変革と中国文化、社会、民族』pp.141-154/日本評論社2008.5
論文
(単著)
中国〈和諧社会〉論と少数民族:中華民族の多元性という本質主義の批判的考察『現代社会学理論研究』第2号,pp.128-140/日本社会学理論学会2008.3
論文
(単著)
1931~34年のウイグル族民族運動の動機に関する試論『若手研究者成果報告論集』第1号,pp.105-112/愛知大学国際中国学研究センター2006.3


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