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【情報更新版】2014年度ICCS国際シンポジウム「四中全会における〈法治〉と日中関係をめぐる諸相」(2/14)

開催日時

 愛知大学国際中国学研究センターでは、以下の通り、国際シンポジウムを開催いたします。 ---

四中全会における〈法治〉と日中関係をめぐる諸相


日時:2015年2月14日(土)9:30~18:30
会場:愛知大学名古屋校舎厚生棟3階W31・32会議室
備考:参加無料・申込要(下記参照)

開催趣旨:

 2014年10月23日、中国共産党の第18期中央委員会第四回全体会議(四中全会)が閉幕した。同日発表された5200字余りの会議コミュニケにおいて「法治」が58回、「法による国家統治」が23回、「党による指導」が13回使用され、「法治」と組み合わせた「法治国家」「法治政府」「法治社会」「全国民の法治観念」「社会主義法治文化」「基層ガバナンスの法治化」「法による軍統治」などもあった。
 これに先立つ9月24日、習近平国家主席は、孔子生誕2565周年記念国際学術シンポジウムならびに国際儒学連合会第5回委員大会開幕式に出席し、「孔子の創った儒家学説およびそれを基に発展した儒家思想は、中華文明に深い影響を与えた、中国伝統文化の重要な構成要素だ。儒家思想は中華民族の形成・発展過程で生まれた他の思想文化と共に、中華民族が古来国家建設の奮闘の中で繰り広げた精神活動、行った理性的思考、創造した文化的成果を記録し、中華民族の精神的追求を反映しており、中華民族にとって尽きることなく存在し続け、発展し、大きくなる重要なエネルギーだ。中華文明は中国の発展に深い影響を与えただけでなく、人類文明の進歩にも重大な貢献を果たした」とする「重要談話」を発表している。
 周知のように、中国の歴代王朝は、伝統的に法家と儒家との対比的関係に代表されるような、「人による支配」と「法による支配」の理想を混合した特色を持っており、現在に至るまで続いている。その場合「法治」とは、むしろ「law and order(法と秩序)」 と表現されるべきであるかもしれない。
 いずれにせよ、こうした四中全会における「法治」強調の真意はどこにあるのか。中国の国民や日中関係にどのような影響を及ぼす可能性があるのか。あらためて集中的に検討しておいて然るべきであろう。
 上述の会議コミュニケにおいては、具体的に、相続法や婚姻法など個別の法律で対応してきた民法分野の法律を整理し法典として体形的に網羅した「民法」を定める方針を明らかにし、経済に関わる基本法制を整備して経済の市場化を一層加速させるべく、「開放型経済の新体制の構築を促進する」と強調しながら、「法に基づいてマクロ経済の調整と市場の管理監督などを強化・改善し、公平な競争的市場秩序を守る」とも明記され、投資や土地管理を巡る法律を整え、市場での流動性を高め、税財政や金融分野の法律も整備し、野放図になりがちな地方政府の財政引き締めと中央政府による地方財政への管理強化を意図したものであると解釈されている。
 また、習近平は、党総書記、中央軍事委員会主席として、軍にも「法治」の徹底を指示し、軍内での汚職追放対策を強めるために軍の規律監察体制を改革する方針も盛り込み、これまで十分とはいえなかった軍への統制強化と人事掌握につなげるものと考えられている。さらに、反腐敗運動をめぐって、収賄罪の対象とする賄賂の種類の拡大など反腐敗関連の法律を厳しくし、治安対策では、一部ウイグル族による暴力事件を念頭に「テロ組織や民族分裂勢力」などへの取り締まり強化を行い、「民主派」によるデモが続いていた香港情勢についても「法に基づいて中央権力を行使し、高度な自治を保障しつつ、外部勢力の介入を防ぐ」としていた。
 さらには、10月の中国共産党政治局員勉強会で中国史にみる国家統治のあり方について講演した際、習近平党総書記が古典から引用した十の故事成句(「民惟邦本」「政得其民」「礼法合治」「德主刑輔」「為政之要莫先于得人」「治国先治吏」「為政以德」「正己修身」「居安思危」「改易更化」)も注目されている。現代中国における構造的変容の特徴をより深く理解していくには中国における「伝統」をどのように「革新」しようとしているのかという視座もまた、極めて重要になっているといえよう。
 今回の国際シンポジウムでは、上述のような視座を踏まえたさまざまな研究領域からの議論によるブレーンストーミングを企図している。

【パネリスト】
張 践(中国人民大学教授/中国実学研究会会長)
加々美 光行(愛知大学名誉教授)
単 純(中国政法大学教授)
周 建波(北京大学経済学院教授)
川村 範行(名古屋外国語大学特任教授)
高橋 五郎(愛知大学現代中国学部教授/ICCS所長)
鈴木 規夫(愛知大学国際コミュニケーション学部教授)
李 春利(愛知大学経済学部教授)
周 星(愛知大学国際コミュニケーション学部教授)
大澤 正治(愛知大学経済学部教授)
牛 革平(愛知大学ICCS研究員)

【通訳】
牛 革平(愛知大学ICCS研究員)申 雪梅(中部圏経済研究所)
宋 暁凱(愛知大学ICCS研究員)


【プログラム内容】
総合司会 鈴木規夫(愛知大学国際コミュニケーション学部教授)
 09:30~09:45 開会挨拶・趣旨説明 高橋五郎(愛知大学国際中国学研究センター所長)
 09:45~10:50 基調報告Ⅰ 德导、礼齐、法治——儒家社会治理思想研究
             (「徳導」、「礼斉」、「法治」-儒家社会統治思想研究)
         張 践(中国人民大学教授)
 10:55~11:40 基調報告Ⅱ 「習近平政権の国家論理と民族政策の変遷」
         加々美光行(愛知大学名誉教授)

●政治セッション
 11:45~12:25 報告Ⅰ 论法治与德治相结合的中国特色
           (「法治」と「徳治」の結合における中国の特色について)
         单 純(中国政法大学教授)
 12:25~13:25 休憩
 13:30~14:05 報告Ⅱ 習近平指導部の党治と憲政の矛盾性
          -『四つの全面』国家統治戦略の課題-
         川村範行(名古屋外国語大学特任教授)
 14:05~14:15 コメント      鈴木規夫(愛知大学国際コミュニケーション学部教授)

●環境・経済セッション
 14:20~15:00 報告Ⅰ 儒教的复兴与经济发展(儒教の復興と経済発展)
         周 建波(北京大学経済学院教授)
 15:05~15:40 報告Ⅱ 環境対策のための社会経済基盤
          中国,日本,日中関係を目指して
         大澤正治(愛知大学経済学部教授)
 15:40~15:50 コメント      李 春利(愛知大学経済学部教授)

●文化・社会セッション
 15:55~16:30 報告  中国の法家思想における法治とは何か
          ―マキャベリの『君主論』と『韓非子』との比較
         牛 革平(愛知大学ICCS研究員)
 16:30~16:40 コメント      周 星(愛知大学国際コミュニケーション学部教授)
 16:40~16:50 休憩
●総合討論(司会:高橋 五郎)
 16:50~17:50 全体討論      全員
 18:00~      閉会挨拶      鈴木規夫



■お問合せ・申込先:
愛知大学国際中国学研究センター(ICCS)
E-MAIL:iccs-sympo(AT)ml.aichi-u.ac.jp
※上記メールアドレスの(AT)は@に置き換えてください。※会場の都合上、事前に上記の申込先までお申し込みいただければ幸いです。申込方法は、氏名(フリガナ)、所属、電話、emailアドレスをご記入の上、EメールまたはFAXでお申込みください(書式任意)。



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開催趣旨

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ICCS(International Center for Chinese Studies)について

文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

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