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開催状況不明
公開講演会「中国の不平等:家計調査に基づく所得格差とその起源に関する研究」 「中国農村における環境問題と将来展望」を開催しました
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2009年2月20日(金)本学車道校舎にて、「現代中国経済とアジア経済圏形成」研究会による公開講演会を開催しました。
当日は、講師として名古屋大学大学院経済学研究科附属国際経済政策研究センターの薛進軍教授と北京大学環境与都市学院の欒勝基教授のお二人をお招きし、それぞれ「中国の不平等:家計調査に基づく所得格差とその起源に関する研究」「中国農村における環境問題と将来展望」と題してご講演を行っていただきました。
今回の研究会は学内外から多数の参加者を得て、盛大に行われた。 特に、中部地区の関連企業からの出席が多いことが目立った。 さらに朝日新聞と中日新聞の記者も参加した。
薛教授の報告は、独自の家計調査に基づいて格差の実態、そして格差を及ぼす歴史的、経済的、政治的、政策的不平等の起源(要因)を解明した。さらに、中国は所得格差が急激に拡大し、世界でもっとも不平等な国になりつつあると指摘し、不平等の問題を速やかに解決しないと中国は政治・社会不安定の臨界点へと加速していくと警告を発した。さらに「幸福の経済学」というユニークな問題提起を行い、参加者一同の共感を呼んだ。
欒教授の報告は、疲弊した中国農村における環境破壊と過度な資源開発の実態に焦点を当て、水の安全、食品の安全、健康への被害などを軸にその現状と要因を分析し、開発と環境のジレンマを突いた。これまでの環境研究は都市環境に集中しており、農村環境について軽視された嫌いがある。同教授の報告は中国政府第十一次五ヵ年計画関連の研究プロジェクトの一環として中国全土に及ぶ大量の調査に裏付けられた一次データをベースにしており、さらに、具体的な政策提言を行っている。
両氏の報告に対し、総合コメンテーターである高橋五郎ICCS所長は立ち入ったコメントを行い、大変かみ合った討論が展開された。さらに、ICCS環境部会の藤田佳久教授は的確なコメントを行い、経済学部の国崎教授も専門的な質問を行うなど、討論が過熱していく。学外からの参加者も相次いで自分の経験を踏まえた質問を行うなど講演会は大変盛り上がった。結局、16:30に終わる予定の講演会は1時間以上もオーバーし、最後に無理やり議論が打ち切られたのである。講師たちも大変満足した模様。(文責 李春利)