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国際ワークショップ・公開レクチャー:「モンゴル・ネットワークの世界デザインと〈アジア〉」開催(12/10-11)

 愛知大学国際中国学研究センター政治外交的アプローチ班では、以下の通り、愛知大学国際コミュニケーション学部アジア協同体論講座、同国際問題研究所西北地域研究プロジェクトとの共催により、国際ワークショップ・公開レクチャーを開催いたします。 ---

モンゴル・ネットワークの世界デザインと〈アジア〉
―「アジアの臍」としての張家口をめぐって―


日時:2014年12月10日(水)10:00~13:00/14:45~18:00
   2014年12月11日(木)10:00~12:00/13:00~15:00
会場:愛知大学名古屋校舎
 ①12月10日(水)
 ・10:00~13:00:厚生棟3階 W31会議室
 ・14:45~18:00:講義棟6階 L706教室
 ②12月11日(木)
 ・10:00~15:00:講義棟11階 L1102教室
共催:
愛知大学国際コミュニケーション学部アジア協同体論講座、同国際中国学研究センター政治外交班、同国際問題研究所西北地域研究プロジェクト
備考:参加無料・申込不要

開催趣旨:

 現在、北京市とともに2022年冬季五輪の共同開催地として正式に立候補を申請している河北省張家口市は、北京の北を取り巻く万里の長城の主要門であった「大境門」のすぐ外側に位置し、ここを制したものは北方から北京を攻める場合にも北京を守る場合にも有利になるとされ、「北京の北門」とも呼ばれた戦略上きわめて重要なロケーションにある。
 かつて日本が大陸侵略の前進基地として、蒙疆聯合委員会(1937年設立)、蒙古聯合自治政府(1939年設立)などを設置したのもそのためである。そして、日本のいわゆる「日中アヘン戦争」の重要な一翼を担った興亜院蒙彊連絡部(その経済一課課長としてアヘンビジネスを担当していたのが、後の首相、日中正常化交渉においては外相を務めていた大平正芳)が置かれたのがまさにこの張家口であり、ここが上海をはじめアジア各地とネットワークを構築していたことは、東条英機が1943年9月に東京で開催した「大東亜薬品会議」(その実態は「大東亜アヘン会議」であるとされる)の構成などからもよく分かる。そうした「日中アヘン戦争」の実態については、本学法学部の故江口圭一教授の長年の研究においてすでに明らかにされている。
 今回われわれが張家口に着目するのは、まさに、その戦略的ロケーションの現代的意味の再検証のためである。中国北方から西北にかけてのさまざまな民族の交錯する地点としての張家口は、現代アジアにおける政治的、軍事的、経済的、社会的ネットワークにおいてどのような意味と可能性をもっているのか。これを考えていくためのブレーンストーミングが、今回の国際ワークショップ&レクチャーの主要な目的である。
 その場合、われわれは、現代世界イメージの基礎を構築した「モンゴル・ネットワークの世界デザイン」に着目する。張家口を中華儒家文明への結合点としてもったモンゴルは、その西方への拡張とともに、イスラーム世界、西方キリスト教世界をめぐって、インド洋太平洋をまわり込むように、人々のネットワーク回路を繋げていた。20世紀の短い時期に日本がいわゆる「大東亜」を妄想できたのは、〈世界史の誕生〉の契機となったそうした広義のモンゴル・ネットワークの一端に相乗りしようとしたからであろう。
 現在の中国政府が、そうしたグローバルなネットワークの歴史的水脈をよく認識して、張家口での冬季オリンピックを推進しているのかどうかは定かではない。だが、現代中国のかかえるジレンマとその解決がグローバルな文脈へ拓かれて行われていくプロセスには、中国がアジア・イメージとどのように和諧していくのかという前提が必要であるのだが、われわれはこれを「アジアの臍」としての張家口というパースペクティヴから考察していきたい。(コーディネーター:鈴木規夫)

【パネリスト】
・鈴木規夫/愛知大学教授/コーディネーター
・ウラッディーン・ボラグ/ケンブリッジ大学准教授
・楊潤平/張家口歴史学会会長
・加々美光行/愛知大学名誉教授
・王建新/蘭州大学教授
・周星/愛知大学教授
・松本ますみ/室蘭工業大学教授
・ボルジギン・ブレンサイン/滋賀県立大学准教授
・研究助手:牛革平ICCS研究員

【プログラム内容】

◆12月10日(水)
<10:00~13:00ワークショップⅠ>
■開会挨拶 趣旨説明
 鈴木規夫(愛知大学国際コミュニケーション学部教授・ICCS政治外交班代表)
■報告Ⅰ ボルジギン・ブレンサイン(滋賀県立大学准教授)
「「張家口」のロケーション」
■報告Ⅱ 周星(愛知大学国際コミュニケーション学部教授)
「西北地域概念の伸縮をめぐって」
■討論  オラディン・エルデン・ボラグ(ケンブリッジ大学准教授)

13:00~14:00 ランチ・休憩

<14:45~16:15公開レクチャー>
■レクチャーⅠ 楊潤平(張家口歴史学会会長)
「張家口概観」
■レクチャーⅡ オラディン・エルデン・ボラグ(ケンブリッジ大学准教授)
「作为 内蒙古的“首都”的张家口」

16:15~16:30 休憩

<16:30~18:00公開レクチャー>
■レクチャーⅢ 王建新(蘭州大学教授)「ムスリムと張家口」
■コメント
・加々美光行(愛知大学名誉教授)
・周星(愛知大学国際コミュニケーション学部教授)
・ボルジギン・ブレンサイン(滋賀県立大学准教授)
■質疑応答
18:00 閉会
18:30~21:00懇親会
  

◆12月11日(木)
<10:00~12:00 ワークショップⅡ>
■報告Ⅲ 松本ますみ(室蘭工業大学教授)
「張家口−華北交通写真グラフ誌分析から」
■討論  楊潤平(張家口歴史学会会長)

12:00~13:00 ランチ

<13:00~15:00 ワークショップⅢ>
■総合討論 「アジアの臍」としての張家口
・周星(愛知大学国際コミュニケーション学部教授)
・楊潤平(張家口歴史学会会長)
・オラディン・エルデン・ボラグ(ケンブリッジ大学准教授)
・王建新(蘭州大学教授)
・加々美光行(愛知大学名誉教授)
・松本ますみ(室蘭工業大学教授)
・他政治外交班メンバー
 司会 鈴木規夫

15:00 閉会


■お問合せ先:
愛知大学国際中国学研究センター(ICCS)
E-MAIL:iccs-sympo(AT)ml.aichi-u.ac.jp
※上記メールアドレスの(AT)は@に置き換えてください  


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ICCS(International Center for Chinese Studies)について

文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

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