10月4日(土)名古屋キャンパス本館20階で、ICCS主催シンポジウム「東亜同文書院中国調査旅行報告書の中国語翻訳と大調査旅行の展開」が盛会のうちに終了いたしました。大澤肇現代中国学部准教授(ICCS所員)の司会で40名を超える学内外の方が聴講され、充実した講演会となりました。
初めに、東亜同文書院の中国語版による調査旅行報告書が、周建波訪問教授が主編者、これまでの本センターの研究員の何名かが編集に携わり、この度中国国内で先行して「経済調査資料」選訳の3巻が出版されたとして李春利所長より紹介がありました。
続けて、発行された3巻を、主編の周建波訪問教授より、東亜同文書院記念センター長の加納寛副学長宛てに贈呈いたしました。
講演の最初は、本冊子の刊行にあたり中国語版での刊行の意義、刊行でに関する様々な対応内容と、同文書院の調査旅行の内容とその価値等について、周建波訪問教授が中国語で講演、劉罡研究員が通訳を務めました。
続けて、東亜同文書院大学記念センターより、3名の方々による講演をいただきました。
藤田佳久名誉教授からは、「東亜同文書院の大調査旅行の展開」といタイトルで同文書院の成り立ちから愛知大学への変遷、学生が実際に歩んだ調査旅行のコースなどをわかりやすく解説をしてくださいました。
続いて石田卓生東亜同文書院大学記念センター研究員からは、「『東亜同文書院経済調査資料選訳』について」というタイトルで、これまで国内外で紹介あるいは出版された東亜同文書院の調査旅行について各種文献の紹介、今回中国語で出版された冊子の特徴さらには東亜同文書院生の卒業後の活躍などを報告いただきました。
更に「東亜同文書院大学図書館の世界」というタイトルで、成瀬さよ子東亜同文書院大学記念センター研究員より、かつての上海で何度か移転をした東亜同文書院の図書館の蔵書数、利用状況の推移や、書院の蔵書はどうなったか等興味深い内容をお話いただきました。
最後に李春利所長がモデレーターを務め、総合討論が展開され、ギャラリーからも特に東亜同文書院について詳しい方からの質問やご意見が寄せられ、今後の研究にも新たな参考となるシンポジウムとなりました。
- 2025年11月 -
2025年10月18日土曜日の午後2時より5時まで、今年度第2回目のICCS・日中農業問題研究会主催ミニシンポジウムを開催し2名の報告がなされました。
コメンテーターは郭万里愛知大学経営学部准教授・ICCS運営委員が、劉及び岸川ICCS研究員2名が当日会の運営を担当しました。
はじめに、高橋五郎愛知大学名誉教授・ICCSフェローより、「中国の最近の食料自給率について」と題する報告がなされました。
報告では、中国での経済成長期の2010年から2022年までの食料自給率の推移をSSFSSR法という計測方法に基づいた分析結果について解説がありました。
次に、大島一二桃山学院大学教授より「伝統的工芸品の香港への輸出の現状と課題ー仙台箪笥の輸出を中心にしてー」というテーマで、日本国内でも珍しく貴重で高価な伝統家具である仙台箪笥の香港への輸出戦略等について分析報告がなされました。
来場者は関係者や本学卒業生など8名の方が参加されました。当日の風景は写真のとおりです。
高橋五郎名誉教授講演風景
大島一二教授講演風景
ICCSは、2025年10月8日(水)午後1時15分から16時半の間、公開研究会「近現代東アジアの言語・文化・歴史―その諸相と可能性―」を開催しました。田村和彦ICCS運営委員(現代中国学部教授)の総合司会・ICCS岸川研究員が運営を務めました。
教員・研究員及び学生に加え、平日にも関わらず一般参加者の皆様にもご来場いただき、総勢60名以上の参加がありました。
はじめに李春利所長からICCSを代表してあいさつがあったのち、関西大学名誉教授・東西学術研究所研究員・日本中国語検定協会理事長の内田慶市先生により、「近代における東西言語文化接触の研究」と題する特別講演が行われました。
学部生や一般来場者にも非常に分かりやすい内容で、近代のことばと文化を日中間に限定せず東西の広い地域から見た言語文化の接触について、各研究分野からのアプローチによる分析を講演いただきました。
日本・中国双方でみられるような商品や広告・看板表示なども参考事例としてスライドで紹介され、広く興味を引く内容でした。
続けて、当センター所属の研究員2名による研究報告が行われました。
まず、楊一鳴ICCS研究員より「近代西洋人の漢字知識―蓄積と発展」をテーマに、近代の字典(辞典)編纂から漢字語彙の変遷などを中心に発表がされました。
さらに劉罡ICCS研究員が「戦後日本における引揚をめぐる記憶の構築と継承―引揚関連記念館の展示分析を中心に」をテーマに、引揚記念館の展示内容、活動・研究内容や諸問題を分析し報告しました。
最後に総合討論には、内田先生と同様の研究分野である塩山正純国際コミュニケーション学部長がモデレーターを務められ、中京大学グローバル教育センター長で、日本中国語検定協会副理事長の張勤先生とICCS所員の李暁東現代中国学部教授も加わり、内田先生、楊研究員、劉研究員と共に当日のテーマに基づいた議論を交わして会をまとめました。
当日の風景は写真のとおりです。
総合討論 左より 塩山正純教授、内田慶市名誉教授、張勤教授、李暁東教授、楊研究員、劉研究員