鈴木規夫編著 『イメージング・チャイナ-印象中国の政治学』(2014年3月、国際書院)が刊行されました。
〈中国〉は未だ揺らいだ表象である。21世紀においてこの〈中国〉という名辞がどのようなイメージに変容していくのか、その帰趨がグローバル・ポリティクスに少なからぬ影響を及ぼす。本書では、その〈中国〉の視覚資料・非文字資料への分析・批判理論構築の必要性を追究する。(国際書院HPより)
ICCS高橋五郎所長は、4月16日NHK放送のBS1「国際報道」に出演いたしました。
国際報道2014 【放送局】 NHK BS1 【放送日時】 2014年4月16日(水)22:00~22:50
2014年4月1日、牛革平ICCS研究員が着任しました。 ---
■牛 革平 研究員
2014年4月よりICCS研究員着任しました牛革平と申します。研究テーマは「Comparing Liberalism and Confucianism: a Perspective on the Problems of China’s Political Modernization」(「儒教とリベラリズム:中国の政治的近代化の問題を展望する」)です。中国は30年来の経済改革によって世界第二位の経済強国になった。しかし、中国は先進国ではなく、未だ発展途上国の一員とみなされている。そのような評価の一つの背景には、国内外でますます高まっている中国の非民主的な政治制度への批判がある。著しい貧富の格差、深刻な環境問題、食品の安全問題、頻繁な社会騒乱など、現在の中国における様々な社会・経済問題がその政治問題と密接に関わっていることも明らかである。この改革の時代に生じた中国の政治思想の変動を見てみるなら、市場経済の急速な発展に従って、マルクス主義は中国の国家イデオロギーとしての地位をほぼ失った一方で、リベラリズムと儒教という二つの政治哲学の伝統の復活を見て取ることができる。今日の中国の政治問題の解決をめざすとき、近代国民国家の体系の問題とともに、近代中国に生きている古代中国の政治伝統の問題とも意識せざるを得ない。本研究の第一部は、「国民国家論」に基づいて近代国民国家とその支配する世界システムの特長と転換を考察し、それに対照して古代中国国家の特殊な政治暴力のパタンを検討したうえ、中国の政治的近代化の問題を考察する。一方、政治制度の変革を実現するために、新たな政治思想の準備も、政治文化の変革も必要になるだろう。近代世界と古代中国における最も重要な政治哲学としてのリベラリズムと儒教には、これからの中国の政治変革の哲学的な基礎を見出すべきだと考える。本研究の第二部は、どのようにしてリベラリズムと儒教という近代社会と中国の伝統社会の主たる二つの政治思想を融合させて、中国の政治体制と政治文化の変革の哲学的な基礎を提供できるかを議論していきたいと考えます。
⇒牛革平研究員プロフィール