2024年10月1日、劉罡ICCS研究員、楊一鳴ICCS研究員が着任しました。
■劉罡 研究員
ICCS研究員の劉罡(リュウ コウ)と申します。20世紀以降東アジア圏内における人の越境移動について研究しています。博士課程では、アジア・太平洋戦争の敗戦に伴う外地日本人の引揚げを題材として取り上げ、植民地時代を生きた彼らの戦後史の再構築を試みました。具体的には、行政、地域社会、個人といったレベルにおいて引揚げがどのように語られ、記憶されていったのかを総合的に分析しました。しかし、日本人の引揚げは単独に行われたものでななく、日本と中国、アメリカなどといった関係国との交渉過程において遂行されたのです。その意味では、引揚げの諸相についての検討は一国史の枠組みを超え、グローバルな視点を導入して行う必要があります。今後は、中国とアメリカの行政資料やその両社会における日本人の引揚げに関する言説を整理し、日本側の引揚げ言説との比較検討を行うことで、東アジアやグローバル・ヒストリーにおける引揚げの歴史的意味を再考していきたいです。
■楊一鳴 研究員
ICCS研究員の楊一鳴と申します。私は、東西言語文化接触に関する諸現象に注目しており、特に近代西洋人の中国語研究を主なテーマとしています。英華・華英辞書をはじめ、旅行記、文法書などの著述も利用し、彼らの中国語観、相互の引用や参考の関係といった点を解明することを目標とします。また、データサイエンス、デジタル技術の進展に伴い、人文系の研究においても、デジタルアーカイブやコーパスの役割は極めて重要であり、自身もこれまで多く利用してきました。今後はデータベースの構築および文献資料のデジタル化に積極的に取り組む計画です。