研究事業

若手研究会

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第50回研究会

第一報告

  • 張 玲(ICCS客員研究員):現代中国における女性像の変容―ファッションと身体表象を通して

第二報告

  • 張 雅(ICCS RA ):森三千代の「豹」の改作:「他者」から「異人」へ

報告1:張 玲(ICCS客員研究員)
テーマ:現代中国における女性像の変容―ファッションと身体表象を通して

 報告テーマ「現代中国における女性像の変容―ファッションと身体表象を通して」について持ち時間30分にて報告。
 本研究は中華人民共和国建国以来から現在までの、マスメディアにおける女性のファッションの変容を通して、その時代の女性像や身体意識及びその変容の過程、メカニズムを明らかにした。 報告後、周所長から総括とコメント・質問をいただいた。
 とくに、制服社会ではファッションが存在しているかどうか、そして男女平等の流れ、建国初期は硬直化されたが、それ以後の「男女平等」は果たして実現したかどうかについて、論証の確認および再考等について指摘し、対応の助言を頂いた。
 また、参加者の皆様からも幾つの指摘、例えば政治視点の深化、ファッション使用の心理意識の要因、そしてジェンダー構造に関する説明の不足等があり、大変有益的な示唆を頂いた。
 今回の報告会は報告者にとって、大変勉強となる報告会である。貴重な時間をくださる先生かた、仲間そして会務を準備してくださる皆様に感謝する。

報告2:張 雅(ICCS RA)
テーマ:森三千代の「豹」の改作:「他者」から「異人」へ

 アンコール・ワットを見学した体験を記している森三千代の「豹」を中心に、彼女の目に映った「他者」の概念には組み込まれない「異人」の表象を検討した。報告の際に、まず、戦前と戦後における三千代の表象の相違を説明した。その上で、作品の登場人物としての豹の子と舞姫像をクローズアップし、三千代が描写する文明社会と「異界」にまたがる異人像を考察した。

 報告後、周所長から以下のコメントと質問をいただいた。具体的には、文学人類学の知識を文学の分野に導入する時際に、文化人類学の資料と先行研究も参考した方がいいと助言いただいた。また、戦前と戦後における日本社会の状況の相違がテクストへの影響についても、掘り下げるべきであると指摘していただいた。
 なお、参加者の皆さんからも、全体の発表の視点や研究対象である森三千代の著者情報、作品「豹」における猫にいじめられた豹の子の性質などのご質問をいただき、最後まで活発な議論を交わしていただいた。
 以上のことから、今回開催した発表会では参加の皆さんから御教示いただき、大変有意義な時間を過ごすことができた。そして、今後の論文の執筆にも大変役に立つと考えられる。


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ICCS(International Center for Chinese Studies)について

文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

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