若手研究会
第44回研究会
- 開催日
- 開催場所
- 厚生棟W32会議室
第一報告
- 戸川 貴行((ICCS研究員)):建康中心の天下観と二至の影長について
本報告の要旨は、下記の通りである。洛陽(北緯34度)が天下の中心であるという根拠は、儒教経典たる『周礼』の記述にあった。そこには、八尺の表(ノーモン)をたてたとき、日影の長さが夏至に一尺五寸、冬至に一丈三尺を示す地こそ、天下の中心であり、その地は洛陽であると記されていた。一方、建康(北緯32度)では、夏至・冬至の影長が、一尺一寸七分・一丈一尺六寸二分にしかならなかった。従って、南朝では、建康における影長の値が、一尺五寸、一丈三尺に改変された。 報告後、高橋先生から、表(ノーモン)の語義、当時の天地観などについて、有益なコメントを頂いた。また王研究員から、『周礼』成立の時期と背景は、どのようなものであったのか、滕研究員から、影長の改変は、具体的にどのような人々に向けた政策であったのか、劉・李RAから江南政権の前後で影長はどのように考えられたのか等、興味深い質疑がなされた。これに対し、報告者が応答し、さらに今後の展望などを述べた。