研究事業

若手研究会

若手研究会

第44回研究会

第一報告

  • 戸川 貴行((ICCS研究員)):建康中心の天下観と二至の影長について

 本報告の要旨は、下記の通りである。洛陽(北緯34度)が天下の中心であるという根拠は、儒教経典たる『周礼』の記述にあった。そこには、八尺の表(ノーモン)をたてたとき、日影の長さが夏至に一尺五寸、冬至に一丈三尺を示す地こそ、天下の中心であり、その地は洛陽であると記されていた。一方、建康(北緯32度)では、夏至・冬至の影長が、一尺一寸七分・一丈一尺六寸二分にしかならなかった。従って、南朝では、建康における影長の値が、一尺五寸、一丈三尺に改変された。  報告後、高橋先生から、表(ノーモン)の語義、当時の天地観などについて、有益なコメントを頂いた。また王研究員から、『周礼』成立の時期と背景は、どのようなものであったのか、滕研究員から、影長の改変は、具体的にどのような人々に向けた政策であったのか、劉・李RAから江南政権の前後で影長はどのように考えられたのか等、興味深い質疑がなされた。これに対し、報告者が応答し、さらに今後の展望などを述べた。


若手研究会の研究事業

一覧へ

直近の研究事業

研究事業の一覧へ

ICCS(International Center for Chinese Studies)について

文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

詳しく見る