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第41回研究会

報告

  • 戸川 貴行(ICCS研究員):推古朝の迎賓儀礼と建康における儀礼再建

 本報告では、隋の裴世清に対する推古朝の迎賓儀礼が、中国南朝の影響を受けていることを検討した。具体的にいえば、従来、当該儀礼は、遣隋使の小野妹子がもたらした隋の『江都集礼』という儀礼書にもとづいて作られたとされていたが、実際には南朝から百済をへて倭国にもたらされた元会儀礼の情報をもとに作られていたことを論じた。
 報告では主に①『日本書紀』にみえる推古朝の迎賓儀礼の特徴;②それと南朝梁の元会儀礼(元旦に君臣関係を中心として周辺諸国にまでその支配が及んでいることを表徴する儀礼)の共通点について分析を行った。
 報告後、高橋先生から、東晋南朝ができるきっかけとなった地球規模の温度低下の尺度がなぜ2℃なのか、本報告のキーワード5つ、推古朝の迎賓儀礼の特徴がもつ意味、報告で用いたユーラシア大陸の地図が90℃傾けられている理由などについて、有益なコメントを頂いた。また王研究員から、当該時代に騎馬遊牧民が活発な移動を始めた原因は温度低下のみなのか、なぜ倭国は北朝でなく南朝に遣使したのか、南朝の儀礼に仏教の影響は見られるのか、さらに滕研究員から、中国の皇帝祭祀は、いつ頃から始まり、いつ頃まで続くのか等、興味深い質疑がなされた。これに対し、報告者が応答し、さらに今後の展望などを述べた。


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