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第32回研究会

報告

  • 王 広涛(ICCS・RA):戦争賠償問題と日本の対中国政策

 愛知大学国際中国学研究センターICCS若手研究会第4回例会は、2015年6月17日(水)に本学名古屋キャンパス厚生棟W32にて開催した。報告の前半に、王広涛氏は博士論文の構想(日中和解の政治学)を簡単に述べ、博士論文の一章に当たる「戦争賠償問題と日本の対中国政策」を報告した。
 報告では主に「戦争責任」という観点に基づいて賠償問題に関する日本側の政策過程、そして認識の構造を検証した。報告で日本政府は対外的に戦争責任を認めながら、戦争賠償の支給及び謝罪等に対して決して積極的ではないと結論付けた。その理由として国内経済、国民生活の水準そして国内政治(例えば、日中国交正常化の場合は親台湾派の反発)など取り上げられたが、これだけでは十分ではない。また、国交回復が必ずしも「友好関係」が保たれるという意味ではなく、「和解」の徹底的達成とも意味しなかった。その一つ重要な理由は、国交回復は単に「利益」の論理に従うことに対し、友好及び和解はむしろ「利益」を超える道徳上の認識に絡めるものであると、王広涛氏は指摘した。
 報告の後半では、高橋所長及びICCS研究員・RAたちはコメントと質疑をし、これに対し王広涛氏は説明するとともに、今後の研究課題として進めると返答した。


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文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

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