若手研究会
第28回研究会
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- ICCS事務室
報告
- 山口哲由(ICCS研究員):チベット―ヒマラヤ山地における農村発展―チベット問題を考察する対照としてのラダーク―
中国における民族問題の根底には,民族間の経済状況の格差も影響していると考えられているが、人びとの経済状況や生活を推し量ることができるような報告は限られている。報告者は、広くチベット地域で生活する人びとの生活を見つめ直す試みとして、政体は異なるものの文化・生態環境が類似した中国とインドの村落の比較研究をおこなっており、本報告は,昨年までにおこなったインド・ラダークにおいておこなった調査に基づいている。
他のチベット地域と同様にラダークの村落でも垂直的な環境変化を基盤とした農業がおこなわれてきた。しかし、近年は婚姻形態の変化や少子化による家族構成の変化、国境警備軍を中心とした地域経済への変化などにより、伝統的な土地利用、環境利用の形態は大きく変化しており、村落の人びとの生活は岐路に立たされていることを報告した。