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第26回研究会

報告

  • 山口哲由(ICCS研究員):中国西部における放牧地問題を考察する視角

 中国西部には家畜飼養に依拠することで生活する人びとが多く生活しているが,これらの地域では特に生産責任制導入以降,過放牧による環境の荒廃が問題視されてきた。こういった放牧地の状態評価における手法では,1つの地域を単位とし,牧草地での生産量と家畜による牧草の消費量を一般化して比較することで導き出されてきた。本報告では,チベット族の家畜飼養の事例に基づいて,飼養方法や利用される放牧地は家畜種に応じて異なることを示し,標準化による放牧地評価方法では域内における負荷の偏りなどの問題を看過し易い点を指摘した。特に近年の中国では,グローバル化や少子化の影響により,集落に近い放牧地が過剰に利用される傾向にあり,そのことを踏まえた対策の必要性を述べた。
 本報告をめぐっては,中国西部における少数民族政策や資源開発に伴う土地接収との関連性,また具体的な西部地域におけるグローバル化が地域の生態環境に及ぼす影響などに関する意見・質問等が提示された。


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ICCS(International Center for Chinese Studies)について

文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

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