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第25回研究会

報告

  • 小嶋祐輔(ICCS研究員):新疆ウイグル自治区の開発と中央アジア貿易

 新疆ウイグル自治区の開発政策において、中央アジア諸国との貿易(辺境貿易)は、伝統的にウイグル族が直接関わってきた数少ない領域の一つである。現在においても、報告者が調査を行ったウルムチ市内の辺境貿易市場では多くのウイグル人たちが「言語」という利点を活かして通訳、ブローカーの仕事をしている。彼/彼女らの多くは、そうした仕事をしている理由を「自分の能力でチャンスを掴める」、「取引相手とは文化が同じなのでうまくいく」と説明する。辺境貿易市場は、ウイグル人たちが自らの文化的・民族的資本(と見なすもの)を頼りに、同じ「中国人」として漢族と(ある程度)対等に競争できる場となっている。
 しかし、辺境貿易の現状には課題も多く、自治区が中国沿海地方と中央アジアの中継地点として位置づけられているため、地元の製造・加工業が発展しておらず、地元住民、特に少数民族の雇用、職種・就業形態が限られてしまう点などが挙げられる。今後こうした課題を解消しつつ、対等・公正な競争の場を拡大していくことが重要であろう。


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ICCS(International Center for Chinese Studies)について

文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

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