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第24回研究会

報告

  • 佐藤敦信(ICCS研究員):穂木による果実輸出から現地生産への転換の可能性

 日本産農産物の輸出は攻めの農政転換以降、増加してきたものの近年は歯止めがかかりつつある。これは、日本産農産物は他国産と比較して高価格であるという特徴を有しているためである。その一方で、輸出先の高所得者層では高品質農産物の需要が依然として高まっていることから輸出以外の供給方策について検討することは重要であると言える。本報告では、供給方策として生産財を輸出し輸出先の生産者によって生産・販売する方策を検討した。
 現在、日本が輸出している生産財の1つとして穂木が挙げられる。穂木の輸出先は概ね台湾に限定されている。そのため日本の生産者にとっては、輸出先が果実よりさらに限定される反面、①輸出に伴う作業が果実生産に付随したものであること、②果実輸出の副収入源になること、③国内梨生産者の有志による台湾の梨生産者への生産援助の側面を持つといった意義を持つ。さらに、台湾では日本の穂木によって生産された梨は販売チャネルが広く、日本産輸入梨よりも安価である。このことから、台湾における穂木の需要は今後も現在の規模で維持されると推測される。
 本報告をめぐって、台湾における梨の消費動向や、輸出における果実と穂木の経済的利点の比較に関する質問が提示された。


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文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

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