若手研究会
第22回研究会
- 開催日
- 開催場所
- 435研究室
報告
- 加治宏基(ICCS研究員):中国の国連改革政策
1997年にアナン国連事務総長(当時)が報告書「国連の再生:改革に向けたプログラム」のなかで指摘したとおり、「国連は52年間の歴史で行政効率の向上にもっとも注力してきた。しかし、改革がもっとも遅れたのがこの点である」。国連創設は、「『すべての国に共通ではない』共通利益」の追求の結果であり、その創設後も加盟国をはじめ諸機関など国連システムに関与する各アクターが、自身にとって有益な機構改革を訴えてきた。
本報告は、国連改革をめぐる議論の経緯を整理し、特に日本と中国の国連改革論の特徴を検証した。日本は1956年に国連加盟を果たして以降、国連中心主義を外交活動の柱としてきた。しかし同国政府は、国連改革を安保理改革に一元化した1993年を国連改革の元年と位置付ける。一方の中国は、2000年代になって初めて国連改革論を提示し、途上国の権限拡大を訴える。しかしいつ国連改革が始まったのか、明言していない。
途上国の権限保護を訴える中国の姿勢は、国連の原加盟国である「中華民国」が国連創設過程で堅持した提案と重複するもので、国連改革論から国家継承が再確認される。同時に国連創設以来、なお実現されない改革要求からも「国連の歴史は、改革議論の歴史だった」との指摘が裏付けられる。