若手研究会
第19回研究会
- 開催日
- 開催場所
- 435研究室
報告
- 加治宏基(ICCS研究員):国連開発計画の開発理念―国際政治を背景として
国連システムにおける中国像は、自己規定する「途上国」と安保理常任理事国である同国に対する他者認識である「中心的パワー」との二面性がある。この二面性は、同システムの経済社会分野にも投影される。本報告では、これまで考察してきた国連経済社会分野における“development”の理念転換を背景として、1989年から2005年の間に、中国代表が国連総会一般討論演説において行った「開発/発展」に関する発言を分析することで、同分野における中国像の二面性を検証する。
グローバル化のなかで“development”理念は単一化するかにみえるが、上記分析に基づけば中国の「開発/発展」は、世界潮流と必ずしも符合するものでない。それは、「発展」という言説のもつ二面的意義に集約されると同時に、国際社会における「中国」の歴史的文脈を考慮すべき中国像の二面性に起因する独自理念である。本報告をめぐって、国連機能の今日的意義を問う質問などが提示された。