研究事業

若手研究会

若手研究会

第19回研究会

報告

  • 加治宏基(ICCS研究員):国連開発計画の開発理念―国際政治を背景として

 国連システムにおける中国像は、自己規定する「途上国」と安保理常任理事国である同国に対する他者認識である「中心的パワー」との二面性がある。この二面性は、同システムの経済社会分野にも投影される。本報告では、これまで考察してきた国連経済社会分野における“development”の理念転換を背景として、1989年から2005年の間に、中国代表が国連総会一般討論演説において行った「開発/発展」に関する発言を分析することで、同分野における中国像の二面性を検証する。
 グローバル化のなかで“development”理念は単一化するかにみえるが、上記分析に基づけば中国の「開発/発展」は、世界潮流と必ずしも符合するものでない。それは、「発展」という言説のもつ二面的意義に集約されると同時に、国際社会における「中国」の歴史的文脈を考慮すべき中国像の二面性に起因する独自理念である。本報告をめぐって、国連機能の今日的意義を問う質問などが提示された。


若手研究会の研究事業

一覧へ

直近の研究事業

研究事業の一覧へ

ICCS(International Center for Chinese Studies)について

文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

詳しく見る