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第18回研究会

報告

  • 成田拓未(ICCS研究員):中国における農民専業合作社法の制定と果実産地商人の合作社化

 中国における農産物産地商人に対する農民専業合作社法(合作社法)のインパクト、具体的には産地商人の農民専業合作社(合作社)への変容の実態について、山東省の事例をもとに報告した。
 中国では農協に相当する組織が未成熟なまま市場経済化が進展し、青果物に対する市場の要求は質を中心により一層高まってきている。その中では、商人が品質の統一を軸とする産地形成や農民組織化の中核を担っている事例が見られる。本報告が取り上げるりんご産地商人・青島市D果菜有限公司もその一事例であり、同公司を中心に協会を設立して農民を糾合し、協会を通じた技術の普及、農業資材の共同購入、りんごの共同販売に取り組んできた。特筆すべきは、同協会を中心に合作社を設立するにあたって同公司は清算され、その業務や資産がそのまま合作社に引き継がれたことである。すなわち、商人が合作社へと変容したのである。
 合作社法にもとづいて設立された合作社は、少なくとも制度上は協同組合的性格を有している。その中で、かつての商人を核とする合作社が協同組合としての内実をどれだけ獲得することができるのか。中国農村における農民組織の多くは、商人を核として設立されていることから、この論点は、今後の中国の協同組合の発展を展望する際重要な位置を占めるものである。本報告で取り上げた事例合作社は、利用高配当や比較的民主的な運営がなされており、商人を核とする合作社が、協同組合的性格を持ちうることを実証している。
 議論では、合作社に関わる政策展開が、共産党による農村統治構造の再構築にどのように関わってくるのか等、政治学などの観点からも合作社問題が論じられた。


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文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

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