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第16回研究会

報告

  • 加治宏基(ICCS研究員):国連開発計画の開発理念――国際政治を背景として

 南北問題の可視化と冷戦体制の雪解けが、国際政治の変動力学を活性化し、1960年代に第一次「国連開発の10年」が展開される。その過程で開発至上主義にとらわれたマクロ数値の限界が露呈する。「南」への支持は先進国の学術界、財政界の一部からも見受けられ、1970年代には成長の持続可能性をめぐる省察を経て、国連全体として“development”の理念転換を受容する。同時期、「人間中心の開発」を提唱した国連開発計画(UNDP)は、活動地域での土着化と国連システムにおける政治力醸成に努めた。
 こうした経緯をふまえ、1990年代にはUNDPによって開発ディスコース「人間開発」が本格生成され、「人間の安全保障」も提起された。2000年代には、国連ミレニアム開発目標が総会決議されたが、一連の新自由主義へのアンチテーゼ的開発スキームは、UNDPによる権限拡充政策の具現化との側面をもっていた。国連議事録などにより国際機関の政治性を検証した本報告をめぐり、国連の信頼性を問う質疑が提示された。そこで、国際機構の正当性をめぐり、その機能論をふまえた議論となった。


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ICCS(International Center for Chinese Studies)について

文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

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