若手研究会
第14回研究会
- 開催日
- 開催場所
- 435研究室
報告
- 平野孝治(ICCS研究員):「共産党機関紙の政治的役割と読者意識」
共産党機関紙はかつて「党の喉と舌」と形容されるように、宣伝機関としての役割が重視された。しかし、市場経済の発達により、宣伝機関としての機関紙は、読者を意識した改革を迫られるようになった。共産党機関紙が政治的役割を発揮するためにも、読者を獲得しなければならないが、旧来の教義的な内容中心の記事構成では、共産党機関紙は読者を獲得できないだけではなく、存続すら危うい状況になってしまう。そこで、共産党機関紙は、「改版」を実施し、コラムを充実させたり、評論を増やしたりという工夫をし、さらには見易さ等も重視し始めた。しかし、中国のジャーナリズム論が示す「党性の原則」を巡る概念は、現在の機関紙にも備わっている。機関紙である以上、共産党の政策方針から逸れた議論を行うことは難しいのである。しかし、市民は、都市報や晩報等の大衆性の強い新聞を好む。共産党機関紙は、政治宣伝という本来の役割と読者を意識した改革との間でズレが生じ始めている。このような機関紙の大衆化と政治宣伝の現状について、報告者から紹介された。