若手研究会
第13回研究会
- 開催日
- 開催場所
- 435研究室
報告
- 加治宏基(ICCS研究員):「国際システムの変容とその学術的視点」
国民国家を主たるアクターとするいわゆる「ウェストファリア体制」は、国際システムの底流としてなお機能している。しかし、グローバル化が進む今日の世界の実態とその変動力学をいかに理解すべきか、こうした思考枠組をめぐる研究蓄積は、国際関係論を中心とする学術界のテーマであり続けてきた。本報告では、(国際)政治システムへの視点について主たる学術的議論の整理を試み、ポスト冷戦期における世界システム(の終焉?)に関して議論した。
まず、D・イーストンが提示した政治システム論を引用し、政治的共同体としての国際政治システムとそこでの機能主義的発展を国連システムに適用した。同時に国連システムにおける構造論的考察を行ったうえで、新自由主義的制度論の妥当性と課題を提示した。結論的には、A・ウェントらの構成主義が主張する概念変容力学について国連システムを事例に検証した。
公衆衛生領域など主権概念の変容を誘引する今日的課題は、国連機関の政策理念の転換と相互作用する。こうしたシステム変容力学を前提として、F・フクヤマの理論を再検討すれば、その民主国家の真意が実現するまでにはなお長い時間を要すことが理解される。質疑応答では、現実主義が想定する国家利益の追求という合理的選択について、「合理性」の真偽が問われた。