若手研究会
第9回研究会
- 開催日
- 開催場所
- 435研究室
報告
- 加治宏基(ICCS研究員):「台湾の「WHO参加」とその決定要因」
2009年5月、中華台北(Chinese Taipei)が世界保健機関(WHO)の年次総会にオブザーバー参加を果たす。翌月、マーガレット・チャンWHO事務局長は、「2009年インフルエンザ・パンデミック」宣言を「我われ全員でこの事態に取り組み、ともに乗り切ろう」と締めくくった。これを機にWHOの管轄内に台湾が含まれることとなったが、これは従来国連システムにおける「中国」の地位が、非国家主体である台湾の不在を前提としていた証左にほかならない。
そのシステム変動要因についてジョセフ・ナイが提唱したソフトパワー論を引用し考察した。すなわち1)WHO理念(Health For All)が、2)WHOの公衆衛生政策・法整備を経ることで、3)台湾の参加承認として具現化した。この過程を検証すると同時に、上記理論が内包する米国政治向けのバイアスや、その後の理論的混乱についても精査した。
報告に続く質疑応答では、企業による政策への関与を視野に入れ、多国籍企業の影響力とソフトパワーとの相違と重複について議論が展開された。