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第9回研究会

報告

  • 加治宏基(ICCS研究員):「台湾の「WHO参加」とその決定要因」

2009年5月、中華台北(Chinese Taipei)が世界保健機関(WHO)の年次総会にオブザーバー参加を果たす。翌月、マーガレット・チャンWHO事務局長は、「2009年インフルエンザ・パンデミック」宣言を「我われ全員でこの事態に取り組み、ともに乗り切ろう」と締めくくった。これを機にWHOの管轄内に台湾が含まれることとなったが、これは従来国連システムにおける「中国」の地位が、非国家主体である台湾の不在を前提としていた証左にほかならない。
そのシステム変動要因についてジョセフ・ナイが提唱したソフトパワー論を引用し考察した。すなわち1)WHO理念(Health For All)が、2)WHOの公衆衛生政策・法整備を経ることで、3)台湾の参加承認として具現化した。この過程を検証すると同時に、上記理論が内包する米国政治向けのバイアスや、その後の理論的混乱についても精査した。
報告に続く質疑応答では、企業による政策への関与を視野に入れ、多国籍企業の影響力とソフトパワーとの相違と重複について議論が展開された。


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ICCS(International Center for Chinese Studies)について

文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

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