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第7回研究会

報告

  • 宇都宮浩一(ICCS研究員):国際課税問題の政治的側面

 国際課税問題の政治的側面、とくに課税管轄権の重複と二重課税問題が取り上げられた。経済活動のグローバル化によって、個人や企業の課税対象所得が国外へ移転するケースが増えているが、各国の課税当局は居住地主義や源泉地主義など様々な論拠を示して自国民の所得であると主張し、課税管轄権を拡大している。その論拠は、先進国が主導するOECD租税委員会のモデル条約を中心に形成、基準化されている。課税管轄権が重なり合う場合には二重課税が生じるが、経済活動を行う動機を毀損することから、租税条約や二国間協議によって調整されることになる。その調整もまた多分に政治的であり、たとえば1980年代のオート・ケース、2009年4月のG20、同年7月のAmazon.com社に対する東京国税局の追徴課税と二国間協議設置などに象徴されるように、先進国の作ったルールに基づきつつも、最終的には当事国同士の政治的調整が行われている、との指摘が報告者からなされた。 これに対して、課税当局によって手続きに則った処理が行われている限りでは政治的調整が行われているとは言えない点が指摘された。これについては、国際的な基準が先進国主導で制定されている点がまさしく政治的過程を経ており、また現実の決着には法的手続きを越えた処理が行われている例が示された。


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ICCS(International Center for Chinese Studies)について

文部科学省「21世紀COEプログラム」によって設立された愛知大学国際中国学研究センター(International Center for Chinese Studies:略称ICCS)は、本学大学院中国研究科博士課程を中核に、海外から招聘する世界レベルの学者を含む現代中国研究の国際的な研究・教育機関として、活動を行っております。

ICCSの研究における究極的目標は、伝統的な「中国学(Sinology)」にとどまらず、新たな学問分野として「現代中国学(Modern Sinology)」の構築に向けた努力を継続することにあります。これは日本発の世界的な取組みとなるでしょう。私たちは日本国内、中国をはじめとする世界の優れた仲間たちと、このための研究を進めています。

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