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第6回研究会

報告

  • 加治宏基(ICCS研究員):国連安保理の北朝鮮政策決議をめぐる中国の政策

 北朝鮮外務省は、安保理議長および国際原子力エネルギー機関(IAEA)事務局長あて書簡(1993年3月12日)において核拡散防止条約からの脱退を示唆した。これに対し同年5月、国連安保理は適切な解決へ向けた協議を行い、IAEAの予防措置に応じるよう要請した決議825を採択する。これが、北朝鮮の核開発・ミサイル開発問題をめぐる安保理による初の反応である。  その後、2006年7月には北朝鮮による弾道ミサイルの複数発射を受け、決議1695を採択し、核拡散防止条約からの脱退声明の取り消しと、北朝鮮が核兵器の放棄に合意した六カ国協議共同声明の履行を要求した。また同年10月、初の核実験を実施した北朝鮮に対し、国連憲章に基づく経済制裁などを規定した決議1718を採択し、国連加盟国に核その他の大量破壊兵器、および弾道ミサイル計画に関与・支援する人物または団体の資金、金融資産の凍結を要請する。  さらに今年に入り、4月のミサイル発射に対する議長声明、および6月の核実験をめぐる制裁決議(決議1874)と続く。本報告は、中国政府の安保理政策過程に着目し、これまでの決議・議長声明採択へむけた協議姿勢と、張業遂国連大使や外交部による声明を基に本決議へむけたそれとを比較した。以前は制裁決議の採択自体に消極的であったが、今回については決議を前提とした文言調整に注力したとの相違が見いだされた。同時に、中国政府は、安保理の経済制裁と六カ国協議との複線的協議の維持を重視するが、研究会ではその有効性に対する疑問が提起された。


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