若手研究会
第2回研究会
- 開催日
- 開催場所
- 本学名古屋校舎 435研究室
報告
- 加治宏基(ICCS研究員):『和諧』論の境界―国際政治学の視点から
国連システムにおいて”development”という概念は、「開発」から「発展」へと展開・熟成された。その結果として国連開発計画は、1994年に「人間の安全保障」という開発理念を提起する。本報告では、この環境変化(入力)と中国政府による「和諧」論の政策決定(出力)との関連について、D.イーストンの政治システム論を応用することで検証を試みた。中国の改革開放路線を支えた「小康」から人間を中心とする「和諧」への論理展開は、「開発」から「発展」への変容を反映する。一方で、科学的発展観を謳う政治目標としての「和諧」論の脱科学性については、注意を要すとの指摘があった。つまり、「和諧」論の理論的・物理的境界は、科学に裏付けられるものでなく、政治判断に委ねられている。